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公開 · Re-birth

建設業の採用で仕事が伝わらない?完成した建物だけでは見えない5つの場面

ヘルメットを着用した二人の作業員が建設現場で図面とタブレットを確認している様子(生成イメージ)
生成イメージ。実在する企業・工事現場・作業員を撮影した写真ではありません。

採用のすれ違いノート|第6回

完成した住宅、橋、道路、工場、公共施設。

建設会社の採用ページには、自社が手がけた立派な完成物が並びます。会社の技術や実績を伝えるうえで、大切な情報です。

一方で、その写真を初めて見る人は、そこで働く自分をどこまで想像できるでしょうか。

朝は会社へ行くのか、現場へ直行するのか。誰と仕事を進めるのか。施工管理は一日中何を管理しているのか。危険を避けるために、どんな確認をするのか。未経験で入った人は、最初に何を任されるのか。

完成物は見えても、完成するまでに働く人がしている判断や調整は、外から見えにくいものです。

今回は、建設業の採用ページや求人情報を見直すときに、完成写真へ加えたい「仕事の5つの場面」を整理します。

若い人を増やす前に、仕事の中身を見えるようにする

国土交通省と厚生労働省が2026年9月4日に公表した資料では、建設技能者のうち60歳以上が約4分の1、29歳以下が約12%とされています。若い担い手の確保と育成は、建設業全体の大きな課題です。

また、マイナビが2026年9月30日に公表した2027年卒学生調査では、社会に出て働くイメージを持てている学生は約半数でした。これは建設業だけを対象にした調査ではありませんが、仕事の実像を具体的に伝える必要性を考える材料になります。

ただし、応募が少ない原因を「説明不足」だけに求めることはできません。給与、休日、勤務地、通勤、働く時間、採用時期なども関係します。実態を変えずに見せ方だけを整えても、採用の課題が解決するとは限りません。

それでも、実際に行っている仕事が伝わっていないなら、まず説明を具体的にする余地があります。

1|朝、どこから仕事が始まるのか

「現場作業」「施工管理」と書かれていても、朝の動きは会社や現場によって違います。会社へ集合して移動するのか、現場へ直行するのか。朝礼や危険予知活動を行うのか。誰から当日の予定を聞くのか。

例えば、「8時に現場事務所へ集合し、朝礼で当日の工程と危険箇所を確認します。その後、担当箇所へ移動します」と書けば、一日の入口が見えます。実際の集合時刻や移動方法が現場ごとに変わるなら、そのことも明記します。

確認する問い:初めて読む人が、出勤してから最初の30分を想像できるか。

2|自分の役割と、一緒に動く人が見えるか

建設の現場では、一つの会社だけで仕事が完結しないことがあります。元請、協力会社、職人、施工管理、設計、発注者など、立場の異なる人が関わります。

施工管理なら、工程、安全、品質、原価などの管理に加え、現場の人たちとの確認や調整があります。技能職なら、自分が担当する作業と、その前後の工程とのつながりがあります。ただし、担当範囲は会社や工種によって異なります。

「チームで働く」とだけ書くのではなく、誰と、何を確認し、どんな場面で相談するのかを、一つの場面で説明します。

確認する問い:求人の職種名だけでなく、その人が現場の誰と何をやり取りするか分かるか。

3|安全を、標語ではなく行動で伝えているか

「安全第一」は、建設業に欠かせない言葉です。ただ、初めて建設の仕事を知る人には、安全のために毎日何をしているのかまでは伝わりません。

朝礼で危険箇所を共有する。作業前に保護具を点検する。立入禁止の範囲を確認する。分からないときは勝手に判断せず、作業を止めて責任者へ相談する。

こうした行動を具体的に示すと、「危険な仕事だから気をつける」という抽象的な説明から、「危険を減らすために会社と現場が何をしているか」という説明へ変わります。実施していない仕組みや設備を、あるように書いてはいけません。

確認する問い:安全のために新人が必ず行うことを、三つ説明できるか。

4|未経験者が、何から覚えるのか

「資格取得支援」「丁寧に指導」と書くだけでは、仕事を覚える順序までは見えません。

最初は現場の名称や道具を覚える。先輩と一緒に写真や記録を取る。担当する作業を見学する。資格が必要な作業は、取得後に段階的に任せる。

自社で実際に行っている範囲で、最初の仕事、相談相手、一人で担当するまでの目安、資格と任される仕事の関係を説明します。期間に個人差がある場合は、固定的な約束にせず「目安」と明記します。

確認する問い:入社後の最初の仕事と、次に任される仕事を順番に説明できるか。

5|現場によって変わることも、先に伝えているか

建設の仕事は、現場の場所、工期、天候、工種、進捗によって一日の動きが変わります。同じ会社でも、毎日まったく同じ場所・時間・仕事内容とは限りません。

担当エリア、現場までの移動、直行直帰の有無、屋外作業、雨天時の対応、休憩場所、繁忙期など、応募前に確認したい情報を実態に沿って整理します。すべてを一つの文章に詰め込まず、「変わること」と「共通していること」を分けると伝わりやすくなります。

確認する問い:現場による違いと、どの現場でも共通する働き方を分けて説明できるか。

架空例|「施工管理業務」を、働く場面に置き換える

以下は実在企業の事例ではなく、書き方を考えるための架空例です。

変更前:建築現場における施工管理業務全般。未経験歓迎。資格取得を支援します。

変更後:担当エリア内の建築現場で、工程・安全・品質の確認を行います。朝は現場事務所で当日の作業と危険箇所を確認。午前は現場を回り、図面どおりに進んでいるかを先輩と確認し、写真を記録します。午後は協力会社との打合せや、翌日の段取りを行います。入社後は先輩と現場を回りながら、写真の撮り方、図面の見方、声のかけ方から覚えます。資格取得後に任される仕事は、本人の習得状況と現場の体制を確認しながら広げます。

この文章をそのまま使うのではなく、担当工事、現場の動き、教育方法、資格、勤務の実態を自社の事実に置き換えてください。

完成写真一枚に、「誰が何をしていたか」を足す

採用ページを大きく作り直さなくても、今ある施工実績の写真に説明を足すことから始められます。

例えば、完成した建物の写真の下に、次の内容を加えます。

  • どんな工事だったか
  • 自社はどの工程を担当したか
  • 新人や若手はどんな仕事に関わったか
  • 現場で誰と調整したか
  • 安全や品質のために何を確認したか

一枚の写真を、「完成したものの紹介」から「働く人の仕事が見える説明」へ変える方法です。企業秘密、取引先名、現場の安全、人物の掲載許諾には十分に注意してください。

今日、20分でできること

自社の採用ページから、施工実績の写真を一枚選びます。その写真について、次の五つを現場の担当者に確認してください。

  • 朝、どこから仕事が始まったか
  • 誰と、何を確認したか
  • 安全のために何をしたか
  • 新人なら最初に何を担当するか
  • 現場によって変わる条件は何か

答えがそろったら、採用ページや求人票に二、三行だけ追記します。きれいな表現より、実際に働く場面が見えることを優先します。

情報がそろっているか。実際にどう伝わるか。

Re-birthの無料PRE-CHECKは、企業HP、採用ページ、求人情報など、すでに公開されている情報がそろっているかをAIとRe-birthが一次確認するものです。学生が企業を採点するサービスではありません。

Real View Constructionは、建設業の採用情報を学生10名前後が初めて見たときに、何が伝わり、どこで理解が止まり、応募判断に何が足りないかを整理します。

MEETは、学生と企業が実際に出会い、仕事や現場に触れる機会をつくる取り組みです。PRE-CHECK、Real View、MEETは確認する対象と方法が異なり、上下関係や必須の順番はありません。

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完成した建物には、多くの仕事と判断が積み重なっています。写真の向こう側にある一日を言葉にすることから、建設の仕事の伝え方を見直してみませんか。

「伝えた」と「伝わった」は、違う。

記事内参考資料

国土交通省「建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます~国土交通省・厚生労働省の令和9年度概算要求の概要~」(2026年9月4日)

https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00377.html

国土交通省「建設業の担い手確保・育成、入職促進」(2026年度の取組を掲載)

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000089.html

マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 大学生キャリア意向調査8月<社会人への不安と期待>」(2026年9月30日)

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260930_115158/

文・編集:株式会社Re-birth