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公開 · Re-birth
「選ばれない」のか、「知られていない」のか。――学生の声から始まった「しがMAP」

採用のすれ違いノート|第5回
滋賀県大津市で2018年から運営している「就活room tugumi」。
ここでは、就職活動の相談だけでなく、学生たちと食事をしたり、何気ない話をしたりする日常があります。
以前、学生スタッフと、友達がどのように就職先を探しているのかを話していたときのことです。
就職情報サイトを中心に会社を探していると、そこに載っていない地元企業のことを、どうやって知ればいいのか分からない。
地元企業の情報がまったくないのではなく、「どこに情報があるのか分からない」。
そんな問題が見えてきました。
※学生との会話の趣旨を整理したものであり、特定の学生の発言をそのまま引用したものではありません。
この話が、ずっと気になっていました。
滋賀には、地域を支える会社がたくさんあります。
世界につながる技術を持つ町工場。暮らしを支える建設会社。地域に根ざしたお店や、ものづくりに向き合う職人さん。
でも、そこでどんな仕事が行われ、どんな人が働いているのか。
学生は、どれくらい知っているのでしょうか。
企業側は「最近の学生は地元企業を選んでくれない」と感じているかもしれません。
けれど、本当にそうなのでしょうか。
「選ばれなかった」のではなく、そもそも「知られていなかった」のかもしれない。
この二つは、似ているようで、まったく違います。
滋賀で学んだ学生の県内就職率は16.2%
滋賀県が2025年5月に公表した「令和7年度 第1回産業ひとづくり協議会」の資料には、考えさせられる数字があります。
2023年度、滋賀県内の大学・短期大学を卒業して就職した6,605人のうち、県内で就職した学生は1,067人。県内就職率は16.2%でした。
また、県内の大学・短大で学んだ滋賀県出身の就職者に限っても、県内就職率は47.7%でした。
※県外の大学に進学した滋賀県出身者を含まない統計です。
もちろん、県外に就職することが悪いわけではありません。
仕事内容、給与、将来のキャリア、暮らし方。就職先を決める理由は、一人ひとり違います。
この数字だけで、滋賀の企業が知られていないことが県外就職の原因だと断定することもできません。
ただ、一つの問いが残ります。
滋賀で何年も学んだ学生は、卒業するまでに滋賀の仕事や企業を十分に知る機会があったのでしょうか。
企業が学生に選ばれる努力をすることは大切です。
でも、その前に、そもそも選択肢に入れているのか。
そこから考える必要があるのではないでしょうか。
学生は、最初から「やりたい仕事」を知っているわけではない
2026年10月28日に公表されたマイナビの2027年卒学生調査では、やりたい仕事が見つかったタイミングについて、48.8%が「就職活動中」と回答しています。
これは全国の大学生・大学院生を対象とした調査であり、滋賀の学生だけの結果ではありません。
学生は、最初から世の中にある仕事をすべて知っているわけではありません。
企業を調べる。人と話す。実際に仕事を見る。
それまで興味のなかった仕事が、誰かとの出会いによって面白く感じられることもあるでしょう。
反対に、思っていた仕事とは違うと感じることもあるはずです。
それも、自分の将来を考えるうえで大切な経験だと思います。
2018年から続けているtugumiでも、学生たちが普段は接することのない仕事や人に出会う機会を大切にしてきました。
就職するためだけではありません。
知らなかった世界を知ること。自分が当たり前だと思っていたことを、少し違う角度から見てみること。
そんな経験が、後になって進路や生き方を考える材料になることもあると思うのです。
学生に仕事を選んでもらう前に、仕事を知ってもらう機会をつくれないだろうか。
そんなことを考えるようになりました。
だから、私たちは「しがMAP」をつくっています
私たちが考えたのは、求人サイトをもう一つ増やすことではありませんでした。
就職活動を始める前から、地域にどんな会社やお店があり、どんな仕事をしているのかを知る入口をつくること。それが「しがMAP」です。
しがMAPは、滋賀の企業、お店、職人、地域で活動する人たちを、地図から見つけられるようにする取り組みです。
現在はプレ公開中。2027年4月の正式稼働を予定しています。
会社名を知らなくても、地域や興味のある言葉を手がかりに仕事を探す。
気になる会社やお店を見つけたら、その仕事内容や写真を見てみる。
もっと知りたいと思えば、公式ホームページやSNSへ進む。
まずは、そんな入口をつくりたいのです。
では、具体的にどんな情報を発信できるのでしょうか。
しがMAPで発信したいのは、求人情報だけではありません
しがMAPで大切にしているのは、「会社やお店を知るための基本情報」と「今、伝えたい新着情報」の両方を届けることです。
例えば、企業や事業所では、こんな情報を発信できます。
仕事を知ってもらうための情報
- 会社やお店の所在地、事業内容、どんな仕事をしているのか
- 職場や仕事の様子が伝わる写真
- 関連する検索ワード
- 公式ホームページやSNSへのリンク
- 短い紹介動画(オプション)
求人を出していない会社でも、自社の仕事を知ってもらうための情報を掲載できます。
採用・仕事体験などの募集案内
期間限定の新着情報として、例えば次のような発信も対象にしています。
- 新卒・既卒採用の募集案内
- 中途採用の募集案内
- アルバイト・パートの募集案内
- インターンシップや仕事体験の参加案内
- 会社見学、工場見学、職場体験の案内
例えば「新卒採用の会社説明会を開催します」「夏のインターンシップ参加者を募集します」「週末のアルバイトを募集しています」といった情報です。
これらは、独立した求人検索サービスとして提供するのではなく、事業所の紹介や検索ワード、期間限定の新着情報を通じて発信するものです。
しがMAPは情報を紹介する場所であり、人材紹介や職業のあっせんを行うサービスではありません。
応募の受付、問い合わせ、選考、採用の判断などは、学生・求職者と各事業者との間で直接行っていただきます。
地域の活動や、日々の新しい情報
さらに、仕事や採用に限らず、地域と関わる情報も発信対象です。
- 地域清掃やイベント運営などのボランティア募集
- ワークショップや体験イベントの開催案内
- お店の期間限定メニューや新商品の紹介
- 週末のキャンペーンやタイムセールの告知
- 地域のお祭りや催しへの参加案内
例えば、パン屋さんなら「今週土曜日の夕方に、パンのタイムセールを実施します」。
地域の活動団体なら「来月の地域清掃活動に参加してくれる方を募集しています」という発信も考えられます。
※上記は掲載内容の具体例であり、実在する募集・イベント・セールの告知ではありません。新着情報は内容確認を経て掲載するため、即時配信やリアルタイム通知を保証するものではありません。
こうした情報が加わることで、しがMAPは就職活動中だけに見る地図ではなくなります。
今日は近くのお店の情報を探す。別の日には、気になる仕事を調べる。週末には、参加できそうなイベントやボランティアを見つける。
滋賀の仕事と、日々の暮らし。その両方を知る入口にしたいのです。
実際に、どんなふうに使うのか
少し、利用する場面を想像してみてください。
【利用イメージ①|ものづくりに興味がある学生】
ある学生が、「溶接」「ものづくり」「大津」といった言葉で仕事を探します。
地図から、これまで名前を知らなかった製造業の会社を見つける。その会社のページには、仕事内容の紹介や職場の写真がある。
さらに、会社見学の案内が掲載されていれば、公式ホームページへ進み、詳しい情報を確認する。学生は、そこで初めて、その会社の存在を知るかもしれません。
【利用イメージ②|近くのお店を探している人】
近くのパン屋さんを地図から見つけます。
お店の写真や紹介文を読んでいると、週末のタイムセールの案内が目に入る。
気になったら、お店の公式SNSで営業時間や販売内容を確認する。
そのお店を知ることが、地域との新しい接点になるかもしれません。
【利用イメージ③|何か新しいことをしてみたい学生】
大学の授業やアルバイトとは別に、地域で何か経験してみたい。
そんな学生が、「ボランティア」「地域活動」などの言葉から、近くの活動団体を見つける。
活動内容や募集案内を読み、興味があれば、団体の公式サイトから直接問い合わせる。
これまで知らなかった人や活動に出会う入口になります。
※いずれも説明のための架空の利用例です。現在公開されている特定の事業者や募集情報を示すものではなく、検索結果や参加を保証するものでもありません。
大切なのは、最初から就職や購入という目的を持っていなくても、地域の仕事や人に出会えること。
私たちは、そうした小さな発見を増やしていきたいと考えています。
企業やお店は、何を登録できるのか
しがMAPの公式情報登録では、会社やお店の基本情報に加え、仕事の中身を伝える情報を整えます。
基本登録に含まれる主な内容は、次のとおりです。
- 業種・事業内容・紹介文などの基本情報
- 写真:最大3枚
- 検索ワード:最大10個
- 公式ホームページやSNSへのリンク
基本登録料は、1事業所・店舗・拠点につき、初回10,000円(税別)です。
基本登録に月額・年額料金は設定していません。
ただし、期間限定の新着情報や動画の掲載は、基本登録とは別のオプションです。
新着情報のテキスト掲載は、1件1,000円(税別)。
動画については、お持ちの30秒以内の動画を掲載するプランや、学生が取材・撮影・編集するプランを用意しています。
追加料金が発生する内容は、事前にご案内したうえで進めます。
掲載によって閲覧数、来店、応募、採用などを保証するものではありません。
それでも、会社名を知らない人が仕事内容に出会う入口を整え、採用していない時期にも自社を紹介できることは、一つの価値になると考えています。
学生だけが学ぶのではない。「共育ち」という考え方
私たちは、しがMAPを情報掲載だけで終わる仕組みにはしたくありません。
地図から仕事を知る。興味を持った場所へ行ってみる。働く人と話す。実際に仕事を体験する機会があれば、触れてみる。
そんな経験を通して、学生は知らなかった世界に出会います。
でも、そのとき学ぶのは学生だけでしょうか。
学生から思いがけない質問を受け、社員自身が普段の仕事をあらためて説明する。
自分たちにとって当たり前だった仕事の価値を、違う視点から見つめ直す。
企業の側にも、そんな新しい気づきが生まれる可能性があります。
私たちは、それを「共育ち」と考えています。
学生が学び、企業が教える。それだけではない関係です。
そして、もう一つ大切にしたい循環があります。
Re-birthが企業の採用や広報、地域との接点づくりなどの仕事を通じて対価をいただき、事業を続ける。
そこから生まれた収益を、tugumiでの学生の食事や居場所、新しい仕事や暮らしに触れる機会にも活かしていく。
学生がそこで経験したことや、初めて知った仕事への疑問が、また企業や地域に返っていく。
企業の仕事が学生の経験を支え、学生の経験が企業や地域に新しい価値を返していく。
そんな「共育ちの循環」を、滋賀につくりたいと思っています。
すべての企業に学生の受け入れをお願いするわけではありません。
会社やお店の情報を発信することも、地域との関わり方の一つです。
それぞれの事業所が、無理のない形で関われる入口を増やしていきたいのです。
最後に、企業の皆さまへ3つの問い
ここまで読んでくださった経営者や採用担当者の方に、少し考えていただきたいことがあります。
1.御社の名前を知らない学生は、どこで御社の存在を知ることができるでしょうか。
2.御社の仕事や活動について、今、外に伝えられる情報は何でしょうか。採用情報だけでなく、体験やイベントなども含めて考えられるでしょうか。
3.御社の情報を見て興味を持った人が、次に詳しく調べたり、直接問い合わせたりできる入口はあるでしょうか。
採用をしていなくても、考えられる問いです。
会社やお店の情報を整えることは、求人を出すためだけの仕事ではないと思います。
「選ばれない」のか、「知られていない」のか。
滋賀で学んだ学生が、必ず滋賀に就職する必要はありません。
県外に出て、新しい世界を知ることも大切です。
そして、いつか滋賀に戻ってくることも、離れた場所から関わり続けることも、一人ひとりが決めればいい。
ただ、その選択肢の中に滋賀があるためには、滋賀にどんな仕事や人、暮らしがあるのかを知る機会が必要です。
私たちが目指しているのは、学生を滋賀に引き留めることではありません。
滋賀を、いつか選び直すこともできる地域にすること。
そのために、知らなかった仕事や人と出会える入口を増やす。
学生が地域を知り、企業も学生の視点から学び、そこから生まれたものがまた地域へと返っていく。
そんな循環を、これからもつくっていきたいと思っています。
しがMAPは、その入口の一つです。
最初に紹介した学生たちとの会話から、もう一度考えてみたいのです。
学生が御社を選ばなかったのは、興味がなかったからでしょうか。それとも、まだ出会っていなかったからでしょうか。
「伝えた」と「伝わった」は、違う。そして、その前に、まだ出会っていない仕事や人がいるのかもしれません。
しがMAPへの参画を考えていただけませんか
現在プレ公開中の「しがMAP」は、2027年4月の正式稼働に向けて準備を進めています。
滋賀県内の企業・店舗・事業所、地域で活動する皆さま。
御社の仕事や、今伝えたい情報を、まだ知らない若い世代や地域の人たちに紹介してみませんか。
基本情報の登録から、インターンシップや採用情報、ボランティアやイベントなどの新着情報まで。
どんな情報を発信したいのか、まずはお聞かせください。
しがMAP(プレ公開中):https://shigamap.jp/
掲載のご相談:株式会社Re-birth/info@shiga-rebirth.jp
掲載までの流れは、申込み・相談 → 掲載内容と料金の確認 → 契約・入金確認後の登録作業です。フォームを送信しただけで契約が成立することはありません。
参考資料
滋賀県「令和7年度 第1回産業ひとづくり協議会」資料(2025年5月27日):https://www.pref.shiga.lg.jp/documents/5210/5552245_1.pdf
マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 大学生キャリア意向調査9月〈入社後の働き方〉」(2026年10月28日):https://career-research.mynavi.jp/reserch/20261028_116422/
※統計資料とtugumiでの対話・観察は異なる根拠として扱っています。しがMAPの掲載例・利用例は説明のための架空例であり、サービスの実績や効果を示すものではありません。