JOURNAL
初出 · Re-birth
【連載】新卒採用を、学生と企業でつくりなおす。(第3回)

第3回|なぜRe-birthは、学生のリアルを語れるのか
――そして、なぜ「滋賀」の採用の話をするのか
これまでの回で、
採用がうまくいかない背景には「情報不足」ではなく、
企業と学生の間にある関係のつまずきがある、という話を書いてきました。
すると、こんな疑問が浮かぶかもしれません。
なぜ、そんなに学生のことが分かるのか。
その話は、どこで聞いているのか。
それは本当に、今の学生の話なのか。
今回は、その問いにきちんと答えたいと思います。
■ Re-birthが学生の声を知っている理由
滋賀県大津市に、
学生のフリースペース「就活room tugumi」があります。
ここは、就活相談を“受けるための場所”ではありません。
説明会でも、選考の場でもありません。
何となく立ち寄る
目的がなくてもいい
何も話さなくてもいい
そんな場所です。
この場所を、私たちは7年以上続けてきました。
年間のべ1000人ほどの学生が、
進路が決まりきらないまま、
言葉にならない不安を抱えたまま、ここに出入りしています。
大事なのは、
学生が「評価されない時間」を過ごしている、ということです。
就活イベントや合説では、
学生はどうしても“ちゃんとしたこと”を話そうとします。
でも、評価や選考から切り離された場所では、
まったく違う言葉が出てきます。
本当は、働くこと自体が少し怖い
どこも悪くないけれど、決め手がない
地元は好き。でも、働くイメージが湧かない
比較はできるけれど、選ぶ理由が見つからない
こうした声は、
アンケートや説明会では拾えません。
Re-birthが持っているのは、
「調査データ」ではなく、
日常の中でこぼれ落ちる、生の言葉です。
■ 企業説明会や合説では、聞こえてこないもの
多くの企業は、
「学生に情報をきちんと届けよう」と努力しています。
でも、学生が立ち止まっている理由は、
情報が足りないからではありません。
学生はすでに、
企業情報を調べ
業界を比較し
就活ノウハウを知っています
それでも動けない。
それは、
判断の材料が“感情のレベル”で足りていないからです。
「ここで働く自分が想像できるか」
「この人たちとなら話せそうか」
「失敗しても大丈夫そうか」
こうした感覚は、
説明の上手さでは伝わりません。
■ だから「滋賀」の話をする
では、なぜここで「滋賀」という地域の話をするのか。
それは、採用のすれ違いが
地域の構造と強く結びついているからです。
滋賀の学生の多くは、県外の大学に通っています。
京都・大阪・名古屋は、物理的にも心理的にも近い。
その一方で、
地元企業の情報に触れる機会は少ない
キャリアセンターにも足を運ばない学生が増えている
「地元で働く」という選択肢が、そもそも見えにくい
という状況があります。
つまり、滋賀の採用課題は、
企業の魅力不足でも、学生の意欲不足でもありません。
人が悪いのではなく、
出会い方の設計が、今の学生の動き方に合っていない。
ここに、滋賀特有の難しさがあります。
■ 全国論では、滋賀の企業は救われない
採用に関する情報の多くは、
「全国平均」や「大都市圏」を前提に語られています。
でも、滋賀の企業が直面しているのは、
もっとローカルで、もっと具体的な課題です。
地元志向はあるのに、接点がない
安定を求めているのに、安心できる関係がない
人を大切にする文化が、うまく伝わらない
だからこそ、滋賀では
「情報」よりも「関係」が効きます。
対話、空気、距離感。
そうしたものが、学生の意思決定に大きく影響しています。
■ Re-birthの立ち位置について
Re-birthは、
学生の代弁者でも、企業の味方でもありません。
やっているのは、
学生と企業の間に溜まった「言葉にならない感覚」を、
急がず、歪めず、翻訳することです。
学生が何に迷っているのか。
企業がどこで届いていないのか。
どちらかの正解を出すのではなく、
同じテーブルに出し直す。
それが、Re-birthの役割だと考えています。
■ もし、この記事を学生が読んでいたら
「まだ決めきれなくても大丈夫」
ということだけは、伝えておきたいと思います。
言葉になる前の時間も、
迷っている時間も、
ちゃんと意味があります。
■ 次回予告
次回は、
「滋賀の採用が、なぜこんなにも難しく感じられるのか」
を、もう一段具体的に掘り下げます。
滋賀の学生の動き方、
地元就職がうまくいく企業・いかない企業の違い。
就活room tugumiで見えてきた実例をもとに整理します。