JOURNAL
初出 · Re-birth
【連載】新卒採用を、学生と企業でつくりなおす。

第1回|なぜ今、“採用をつくりなおす”必要があるのか
新卒採用のご相談を受ける中で、
企業の皆さまからよく聞く言葉があります。
合説では興味を示してくれたのに、その後の会社見学(インターン)に進まない
ナビサイトに掲載しても、採用に結びつかない
面接で「いい学生だ」と思っても、翌週には辞退メールが届く
内定を出しても、“他社に決めました”と静かに離れていく
新入社員が「思っていたのと違った」と早期に辞めてしまう
見学に来てくれると高確率で面接に進むのに、そもそも“入口”に来てもらえない
企業の方が口にするのは、こんな感覚です。
「学生はいるはずなのに、肝心なところでスッと離れていく。」
一方で、学生の声はこうです。
「合説で話は聞くけど、決め手がなくて動けない」
「会社の“空気”がわかれば行くんですけど…」
「ナビサイトの情報は読めても、働く姿が想像できません」
つまり今、
**企業と学生は“出会っているようで、出会えていない”**のです。
■ コロナ前とコロナ後で、
出会い方が大きく変わった
もうひとつ見逃せない背景があります。
コロナ前、多くの企業はこう言っていました。
「求人票を大学の就職課に送れば、ある程度の学生と出会えた。」
ところが、コロナ以降は状況が一変しました。
オンライン授業が増え、学生がキャンパスに来る頻度が下がり、
そもそも就職課・キャリアセンターに足を運ばなくなったのです。
では、なぜ行かなくなったのか。
学生の声を聞いていると、いくつかの理由が見えてきます。
「わざわざ行かなくても情報は手に入る」と感じている
ナビサイトやSNS、就活系のYouTube・X・TikTokなど、
スマホだけで“それらしい情報”が簡単に手に入るようになりました。「正解を取りに行く場所」に見えて、入りづらい
まだ迷っている段階で行くと、
「ちゃんと決めてから来なさい」と言われそうで怖い、という声も多いです。予約してまで行くほどでもない、と後回しになる
一対一で落ち着いて話せることは利点でもありますが、
学生にとっては「緊張する」「重たい」と感じられやすい側面もあります。
結果として、学生の感覚では、
「キャリアセンターに行かなくても、就活はなんとかなる」
という前提ができてしまっています。
“大学経由で学生に会える”という当たり前が崩れたまま、
採用の仕組みだけが以前の形を引きずっている。
このズレが、現在の採用のつまずきにつながっています。
■ ナビサイトの限界──情報は届くが、関係は始まらない
企業はこう感じています。
「見てくれているはずなのに、応募が来ない。」
一方で、学生はこう言います。
「どの会社も同じに見える。」
「応募に踏み出す“決め手”がない。」
ナビサイトは、
企業情報を整えて見せるには十分な仕組みです。
しかしそこで伝わるのは“情報”であって、
職場の空気
働く人の表情
価値観や姿勢
人の温度
といった 非言語の魅力 は、ほとんど届きません。
その結果、
「情報は届いているのに、関係が始まらない。」
という現象が起きています。
■ 合説 → 見学 → 面接 がつながらない理由
どの企業にも共通している現象があります。
合説で興味を示してくれる
でも 見学(インターン)には来ない
しかし 見学に来た学生は高確率で面接に進む
これはつまり、
企業は“話せれば強い”のに、話す前の段階で学生が止まってしまう
ということ。
学生は興味がないわけではありません。
ただ、
会社の空気がつかめない
働く姿が想像できない
「行く理由(決め手)」が弱い
そのために、一歩目の決断ができないだけなのです。
ここが、今の採用の一番大きな課題です。
■ 対症療法ではなく “採用の土壌づくり” が必要
PR動画をつくる。
説明会を少し工夫する。
ナビサイトに言葉を追加する。
これらは大切ですが、
根本的な問題はそこではありません。
採用で必要なのは、
情報の量ではなく、関わりの質。
そして、
学生が動く“納得のプロセス”。
だからこそ、今求められているのは、
合説での接点のつくり方を見直すこと
会社見学につながる導線設計を学生と共につくること
対話を通じて価値観や姿勢を共有すること
「届く」会社案内や、「伝わる」採用サイト・求人票に書き換えること
といった、採用そのものの土壌をつくりなおす取り組みです。
■ Re-birthが大切にしている立ち位置
私たちRe-birthは、
滋賀県大津市で学生のフリースペース 「就活room tugumi」 をひらき、
日々集まってくる学生の“生の声”を聞いています。
なぜ動けないのか
どこで迷うのか
どんなときに一歩踏み出せるのか
その感覚を、企業と一緒に採用の仕組みに落とし込んでいく。
それがRe-birthの役割です。
■ だからこそ、
「学生と企業が一緒に採用をつくる」
意味がある
採用とは、
企業と学生が、互いを理解し合う“合流点”をつくる営み。
ナビサイトや合説、就職課の変化、コロナ後の環境――
これらの揺らぎの中で、
一方通行の採用はもう成立しにくくなりました。
だから今、
学生と企業が“並んで”採用をつくりなおすことに
大きな意味があります。
学生のリアルな声を取り入れる
企業の魅力を一緒に掘り起こす
誤解をほどき、関係をつくる
「伝える採用」ではなく「伝わる採用」へ
その共創が、
これからの採用の強さにも、やさしさにもつながると考えています。
**次回(第2回)**は、
採用の前提を整えるための「対話型研修(Async Dialogue・暗闇対話)」を紹介します。
合説や選考の“その前”に必要な土壌づくりについてお伝えします。